抗寄生虫薬イベルメクチンは、同じく寄生虫「トリパノソーマ症」にも効果があるのか調べてみました。
本来イベルメクチンが効果的なタイプの寄生虫とは違うトリパノソーマですが、海外の文献も当たったところ有効とするエビデンスもあるようです。
トリパノソーマ(シャーガス病)に対するイベルメクチンの用量や、その他の働きについてまとめて紹介します!

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◯イベルジョン(ストロメクトールジェネリック)
【目次】
イベルメクチンは抗寄生虫薬として世界的な実績
イベルメクチンは北里大学の大村智先生が、ゴルフ場で有名な伊豆川奈の畑から発見した微生物がつくる物質「エバーメクチン」を原料としています。
微生物を持って微生物を制す
この作用によって主に「抗寄生虫」として目覚ましい効果を発揮し、特に寄生虫に悩まされるアフリカや南米諸国などにおいて、未だに年間2億回以上も使用されており、副作用の頻度も問題となっていません。
イベルメクチン(ストロメクトール)は国内では入手困難?
イベルメクチンは医薬品の成分名であり、日本で発売されている商品名はMSDの「ストロメクトール」です。
ストロメクトールは疥癬などの治療薬として一般的にも使用されてきましたが、昨今の状況では国内でも簡単には入手出来ないそうです。
だというのに国内でイベルメクチンのコロナ承認に向けての機運が全くない。寄生虫薬として日本でも販売されているのでキープしようにも流通が止められているので医師である僕ですら確保できません。コロナは不思議、、、
— 大木隆生 Takao Ohki, MD (@Ohki_TakaoMD) March 3, 2021
慈恵医大の大木先生のツイートにもあるように、本来の寄生虫薬としての用途以外では、大病院でも入手できない状況。
現実的には個人輸入でジェネリックを手に入れるしかないようです。
イベルメクチンのジェネリックなら個人輸入で購入できますので、下記記事もご覧ください。
◯イベルジョン(ストロメクトールジェネリック)
寄生虫と言っても色々
寄生虫は多く分けて、単細胞生物の「原虫」と多細胞生物の「蠕虫(ぜんちゅう)」の2種類があり、イベルメクチンの効果が認められるのは蠕虫の一種である「線虫類」です。
線虫類が起こす感染症には、回旋糸状虫が起こす「オンコセルカ症(河川盲目症)」やバンクロフト糸状虫やマレー糸状虫が起こす「リンパ系フィラリア症」があり、いずれもイベルメクチンによって数十万人の命や健康が守られたと言われているのです。
下記の専門サイトにも記載されている通り、イベルメクチンにも効果のないケースはあるため、その使用はエビデンスを元に慎重に扱われる必要があります。
イベルメクチンは、無脊椎動物の神経細胞に存在するGlu作動性Cl-chに特異的に結合することで、細胞内への塩素イオン流入を促し、神経細胞の過分極を引き起こすことで寄生虫が麻痺して死滅します。線虫のミクロフィラリアには有効ですが、成虫には効果が無いため、長期間の発症予防投与による治療が行われています。
引用:ドクターズプラザ
予想以上に効果範囲の広いイベルメクチン
線虫類に対して目覚ましい効果を発揮したイベルメクチンですが、働きはそれだけに留まらないようです。
そもそも微生物がつくる物質を原料とした薬ですから、今までわかっている以外にも様々な働きがある可能性は十分にあるんですね。
世界一有名な科学誌である『Nature』の公式HPにも、イベルメクチンを絶賛する記事が乗っていました。
イベルメクチン:謎めいた多面的な「不思議」薬は驚き続け、期待を超えています
今日、イベルメクチンは科学者を驚かせ、興奮させ続けており、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗癌剤としての予想外の可能性が特に並外れており、さまざまな疾患を治療することで世界の公衆衛生の改善に役立つ可能性をますます提供しています。
引用:Nature
この記事によると、イベルメクチンには今までわかっている以外にも、マラリアなど原虫が原因の感染症にも予防プログラムとして投入される可能性があります。
そして近年日本でも話題になっている、トリパノソーマ原虫を原因とするトリパノソーマ症(アフリカ睡眠病・シャーガス病)などにも、一定の効果が期待されているようです。
トリパノソーマにも一定の効果か
解釈と結論:私たちの報告は、300μg/ ml / kgの用量のイベルメクチンを使用すると、(感染マウスの)平均生存期間が5日から12日に増加することを示しています。これは、イベルメクチンがトリパノソーマ症の治療に使用できる可能性があることを示唆しています。(Google翻訳)
引用:https://www.jvbd.org/
上記の論文は2012年にナイジェリアで行われた研究で、トリパノソーマに感染したマウスにイベルメクチンを投与することで、生存期間が伸びたと報告されています。
イベルメクチンは直接トリパノソーマを駆除する効果ははっきりしないものの、治療薬として期待されているんですね。
この研究が行われる背景には、既存のトリパノソーマ症の治療薬(ベンズニダゾールとニフルチモックス)が、極めて副作用の頻度が高く代替となる安全な薬が求められているからです。
ベンズニダゾールとニフルチモックスには、いずれも重篤な副作用があり、これらの副作用は消化管、皮膚、神経に最もよくみられます。具体的には、食欲不振、体重減少、吐き気、嘔吐、発疹、神経損傷、不眠症、めまいなどが起こります。
ベンズニダゾールとニフルチモックスは、重度の肝疾患または腎疾患のある人や、妊娠中または授乳中の女性には投与されません。
引用:MSDmanual
イベルメクチンは年間2億回以上摂取されても重篤な副作用の報告が少なく、極めて安全に使用できます。
もちろん副作用の可能性はゼロではありませんが、既存薬と比べて少ないのなら期待されるのもよくわかりますね。
トリパノソーマ病に対するイベルメクチンの効果的とされる使用量
0.3mg/kg
体重60kgの場合
18mg
前述の論文では、トリパノソーマに対して高い効果をあげた用量は、以上のようになっています。
もちろんこれは実験における使用量であり、公的な承認はされていません。もし自分で使用される場合は、くれぐれも自己責任でお願いします。
ちなみにCovid-19に対する国際的な医師の有志団体である「FLCCC」が発表した、早期治療プロトコルでは「0.4mg/kg」となっているため、やはりこのくらいの量がイベルメクチン使用時の適正なのかも知れません。
なおFLCCCが東京オリンピックパラリンピック組織委員会に宛てた書簡では、「体重40kg以上の成人は18mg」となっており、こちらは一般人がより理解しやすいようなアレンジと思われます。
参照:FLCCC
シャーガス病に対しては効果を否定する論文も
トリパノソーマ症にはいくつかの種類があり、アフリカで発生するものはガンビアトリパソノーマ、ローデシアトリパソノーマ。アメリカで発生するものはクルーズトリパノソーマで、こちらは通称「シャーガス病」と呼ばれます。
このシャーガス病に対してもイベルメクチン使用の研究が行われていますが、明確な治療効果は認められていないようです。
シャーガス病の病因の長期研究に使用される犬を収容する犬小屋にオオサシガメが蔓延した後、犬、マダニ、トリパノソーマ寄生虫、およびシャーガス病のトリアトミンベクターに対するイベルメクチン治療の効果を調べました。イベルメクチン治療はダニの駆除に非常に効果的でしたが、犬にもトリパノソーマ感染にも明らかな影響は見られませんでした。
引用:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/
イベルメクチンは寄生虫を媒介する害虫を駆除する効果があり、マラリア予防プログラムに期待されているのもこちらの効果です。
クルーズトリパノソーマなど寄生虫そのものを駆除する効果ははっきりとしないところがあり、過度な期待は禁物ですね。
イベルメクチンは免疫の暴走を抑える抗炎症作用も期待されている
冒頭の『Nature』の記事に戻りますが、イベルメクチンには寄生虫の駆除だけでなく、喘息などアレルギー性の炎症にも効果が期待されているようです。
2011年の研究では、マウスのアレルギー性喘息症状に対するイベルメクチンの影響を調査し、イベルメクチン(2 mg kg -1)が免疫細胞の動員、気管支肺胞洗浄液でのサイトカインの産生、およびオーバルブミン特異的IgEとIgG1の分泌を有意に抑制したことを発見しました。
参照:https://link.springer.com/
また広範な抗ウイルス作用についても、最近特に話題になっていますよね。もちろんこちらも、Natureの記事で取り上げられています。
これに加えて、さらに「がん」にまで有益な効果をもたらす可能性に言及されています。
なにこの魔法の万能薬w
イベルメクチンがさまざまな癌の治療に実質的な価値を持っている可能性があるという証拠が絶えず蓄積されています。アベルメクチンは、顕著な抗腫瘍活性107と、ビンクリスチン耐性株P388を含む、エーリッヒ癌、黒色腫B16、およびP388リンパ性白血病に対するビンクリスチンの抗腫瘍作用を増強する能力を有することが知られています。
引用:Nature
抗炎症作用、抗ウイルス作用、抗がん作用などにより、イベルメクチンは当初知られていた効果よりもはるかに広範な働きをする可能性があるようです。
もちろん公的な承認には引き続き研究が必要かと思いますが、日本から産まれた薬が世界の数十万人の命と健康を救っていると考えると、胸が熱くなりますね。
イベルメクチンはトリパノソーマなどの感染症にも使えるかも知れない
イベルメクチンとトリパノソーマに対する効果や使用量を調べていたら、様々な情報に巡り会えて長い記事になってしまいました。
既に日本の病院では本来の抗寄生虫薬としての処方すらできないレベルで欠品しているらしいので、現実的には個人輸入で手に入れるしかないようです。
興味がありましたら、次の記事もご覧ください!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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