東京都品川区が、小中学校の給食をすべてオーガニック食品にすると発表してニュースになっていました。
https://www.asahi.com/articles/AST2402Q5T24OXIE021M.html
個人的には、大変喜ばしいことで、これを機にもっとオーガニック市場が拡大して安くなってほしいと思っています。
有機栽培のオーガニック食品の需要は年々増えていますが、逆に「オーガニックなんて高いのに何の意味があるの?」と疑問に思う人もいます。
たしかに有機栽培の野菜は値段が高く、慣行農法の野菜に比べてそこまでメリットがあるのか疑問ですよね。
しかし2018年にフランスで行われた大規模調査では、オーガニック食品をよく食べる人はそうでない人に比べて、がんの罹患率が25%低いという結果が出ました。
https://toyokeizai.net/articles/-/249616
これはフランス人7万人を対象の5年間の追跡調査を行ったもので、オーガニックの野菜、肉、乳製品をよく食べる人で、がんの中でも特にリンパ腫の罹患率は著しく低かったとの事です。
リンパ腫とは「血液のガン」と言われており、血液中の免疫細胞である白血球があつまるリンパ節で発生するガンです。
なぜオーガニック野菜でリンパ腫の発生が減るのか理由は明らかになっていませんが、考えられるのは農薬の影響です。
世界で最も普及している除草剤の一つである「グリホサート」は、リンパ腫のリスクを高めるという研究結果があるのです。
https://www.greatitalianfoodtrade.it/ja/salute/il-glifosate-aumenta-il-rischio-di-linfoma-non-hodgkin-nuovo-studio/
ほとんどのアメリカ人の尿からグリホサートが検出されたというショッキングな報告もあり、このような農薬のリスクを避けたい人がオーガニック野菜を選ぶわけですね。
オーガニック食品の魅力はこのような「リスクを避ける」事だけでなく、単純に「栄養素が多いこと」でもあるのです。
例えば世界で最も生産されている野菜の一つであるトマトは、慣行農法に比べて有機農法の場合、抗酸化物質の量が有意に多いことが明らかになっています。
https://dm-net.co.jp/calendar/2012/018699.php
抗酸化物質とは、生物にとって有害な活性酸素を除去して細胞の酸化を防ぐ物質であり健康維持に欠かせないものです。
トマトでいえば「リコピン」という抗酸化物質が有名ですが、太陽をたっぷり浴びて育つトマトだからこそ、紫外線による活性酸素の発生を抑える物質も豊富に作り出すわけです。
有機栽培で栄養が多くなる理由は、化学肥料などで安易に栄養を与えず、植物が自分の力で栄養を作り出す機能を高めるからだと言われています。
「可愛い子には旅をさせよ」と言いますが、野菜も甘やかしすぎると本来の能力を失ってしまうのですね。
他にも2014年にイギリスで行われた研究でも、有機栽培の野菜はそうでない野菜に比べて抗酸化物質の量が19%から69%多いことがわかっています。
https://www.theguardian.com/environment/2014/jul/11/organic-food-more-antioxidants-study
この研究を行っている国際チームは、オーガニックの果物や野菜に切り替えることで、「1 日 5 食」にするのと同じくらいの栄養が得られると語っていました。
また野菜だけでなく肉類や乳製品も同様で、アメリカで発表された研究では、有機栽培の飼料のみを食べさせた牛のミルクは、乳脂肪のバランスが理想的である事を示唆しています。
https://dm-net.co.jp/calendar/2013/021138.php
脂肪には役割に応じて「オメガ3」や「オメガ6」などの種類があります。
牛乳のオメガ6系とオメガ3系の配分は、通常の牛乳では5.8対1だが、オーガニック牛乳では2.3対1。
これほどの理想的な配分は、オーガニック牛乳以外ではみられないそうです。
オーガニックの草を食べている牛の栄養バランスが理想的であるという事は、赤ちゃんに母乳をあげている母親にも重要なニュースです。
妊娠中授乳中の女性は特に、オーガニック食品を重視するメリットが大きいですね。
このようにオーガニック食品は一般的に価格が高いですが、中身の栄養の多さやリスクの少なさを考えれば、実はとてもコスパの良い投資と言えるのです。
子どもたちの成長と未来の健康のためにも、学校給食こそ積極的にオーガニック食品を取り入れるべきでしょう。
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