一回の食事で吸収されるタンパク質量に上限はあるのか?

タンパク質の一回の食事での摂取上限量はあるのか

こんにちは。サファリです。

タンパク質は一回の食事で30gまでしか吸収されないから、複数回に分けて摂るべき

筋トレ界隈では、こんな説がよく聞かれます。
このため、1日に6回も食事をしたり、つねにプロテインシェイカーを持ち歩いて出先でもシャカシャカしている人が大勢います。

トレーニングの後に速やかにタンパク質や糖質を摂取するべきなのは当然ですが、「一度の食事」で摂る量に上限はあるのでしょうか?

実際かなり怪しいと思いますが、今回はタンパク質の摂取上限量についてご紹介します。

一度の食事でタンパク質は30gまでしか吸収されない説の反証

「一回の食事でタンパク質は30g(記事によっては25~35g)しか吸収されない」
とする説には、よくよく考えれは反証がたくさん見つかります。
その一例をご紹介します。

力士の例

有名な話ですが、相撲取りは1日2回の食事が基本です。

朝起きたら朝食を食べずに朝稽古を行い、体内のエネルギーを枯渇させます。
身体が栄養を欲している状態になったところで「昼ちゃんこ」をたっぷりと食べ、昼寝をして身体の成長を促進するのです。

午後にも稽古をしたり筋力トレーニングをしたりして、夜ちゃんこを食べて就寝。
これが相撲部屋の基本的なスケジュールです。

1回の食事で30gまでしかタンパク質を吸収できないなら、力士は1日60gのタンパク質しか得られないことになります。
相撲を生で見た方は、力士の余りの巨体に驚くと思いますが、あの巨体を維持するのに60gで足りるはずがありません。

この例を見るだけでも「1回30g説」を否定するには十分な気がします。

相撲取り

野生動物はもっと少ない

テレビを見ながら寝転がっていても、電話一本でピザが届く人間と違って、野生動物が食事にありつける機会はごく限られています。

一般的に、野生の肉食動物は2~3日に1回しか獲物を取れないと言われています。
その貴重な食事で、可能な限りの栄養を摂取するのです。

体重45kg前後のオオカミは、一回の食事で9kgもの肉を食べるそうです。

人間もかつては野生動物だったわけで、進化の過程で消化酵素が変化した可能性はあるものの、一度の食事で少量のタンパク質しか吸収できないような身体であれば、人類はとっくに絶滅していたでしょう。

 

実験結果も違いがない

アメリカで行われた実験では、1日のたんぱく質必要量の79%(54g)を1回の食事で摂った場合と、4回に分けて摂った場合を比較して、除脂肪体重と窒素保有量に違いが出なかったとしています。
https://athletebody.jp/2012/10/30/protein-absorption-limit/

この実験の被験者は成人女性で、除脂肪体重は平均40kg
トレーニングをしている男性はもっともっと体重が重いので、一回で摂れるタンパク質はもっと多いと想像されますね。

タンパク質摂取量は”一回”ではなく”一日”で判断すべき

タンパク質を一回の食事で吸収できる量には上限がある説を反証してきました。

正確に言えば上限はあるんでしょうが、少なくとも「25~35g」のような少ない量では無いことは明らかです。

では、1回の食事ではなく「1日の摂取量」として考えた場合はどうでしょうか?

タンパク質”一日”の摂取量には上限がある

言うまでもなく、タンパク質は筋肉の材料となります。

タンパク質というのはアミノ酸が何千~何万個も結合したものですが、腸内でアミノ酸にまで分解されて吸収されると、血中に放出されたアミノ酸は筋肉に取り込まれて合成されます。
この合成を「アナボリック」と言い、分解を「カタボリック」と言います。

筋肉は常にアナボリックとカタボリックを繰り返していますが、総合的にアナボリック優位になれば筋肉は大きくなります。

アナボリック優位になるためには、一日に必要とされるタンパク質を食事でしっかり摂取する必要があり、厚生労働省が作成する「日本人の食事摂取基準」では、タンパク質摂取量は
「体重1kgあたり0.9g」とされています。

体重65kgの人ならば、58.5gを一日に摂取すべきという事です。

他にも、ACSM(アメリカスポーツ医学会)のガイドラインでは「体重1kgあたり0.8g」
としており、アスリートや高強度の筋トレをしている人でも「体重1kgあたり2g」を一日のタンパク質摂取量の上限として定めています。

タンパク質を摂りすぎても筋肉の合成は増えない

タンパク質の一日の摂取量に上限があるのは、それ以上たくさん取っても筋肉の合成が増えないことがわかっているからです。

タンパク質(アミノ酸)を人体に投与すると、筋肉の合成は増えますが、一定量を超えるとそれ以上投与してもタンパク合成量は増加しません。
その「一定」のラインが「体重1kgあたり2g」くらいであろうというのが根拠になっています。
https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/nutrition/

一定を超えて投与されたアミノ酸は、糖新生によってエネルギーに変えられて燃焼するだけです。

タンパク質と糖質のバランス

タンパク質だけではなく糖質とのバランスで考える

食事で摂ったタンパク質は、胃でゲル状に消化された後、十二指腸でペプチドに分解され、小腸でアミノ酸にまで分解されて吸収されます。

このアミノ酸は、筋肉や臓器、骨、肌などの材料になるほか、肝臓と腎臓で「糖新生」という働きによってグルコース(ブドウ糖)に変換され、エネルギーとしても利用されます。

ダイエットなどで全体的な摂取カロリーが足りない場合は、筋肉が分解されてアミノ酸が取り出されてしまうこともあります。

一方、食事で糖質などのエネルギー源を十分に摂取している場合は、アミノ酸がわざわざ糖新生されることはなく、筋肉の合成に優先的に回されます。

このため、糖質を十分摂取することでアミノ酸が糖新生されることなく、アナボリックが優位になるのです。
これを「糖質のタンパク質節約作用」と言います。

筋肉を増やすには、タンパク質の摂取量を無駄に増やすよりも、タンパク質と糖質をバランスよく摂取することのほうが有効です。

実践的には、トレーニングをした後にはプロテインシェイクだけでなく、おにぎりやバナナなどで糖質もしっかり補給する。
一日のタンパク質摂取量は「体重1kgあたり1.6g」程度とし、一日の総摂取カロリーの50~60%を糖質から摂るようにするとバランスが良いと思います。

自分の一日の消費カロリーと摂取カロリーを比較して、摂取カロリーが上回っているようであれば筋肉のアナボリックは増大するはずです。

※なお、前述の「体重1kgあたり2g」というタンパク質の上限は、糖によるエネルギー供給が十分であった場合の上限です。
糖質をとればタンパク質合成量が上限なく増えるわけではないのでご注意ください。

質問等は、コメント欄で受け付けています!

関連記事

  1. 運動無しでプロテインを飲んでも太らない

    運動しない人がプロテインを飲んでも太る心配は少ない

  2. プロテインの飲み方について

    プロテインの効果的な飲む量と飲み方アレンジ

  3. ダイエット中に炭水化物を食べるタイミングについて

    炭水化物を食べるタイミング 筋トレの後なら太らない

  4. 筋トレするならビタミンCの効果を知っておきたい

    筋トレするならビタミンCの効果を知っておきたい

  5. 筋トレを夜しかできないときの食事

    筋トレを夜しかできない場合の食事はどうすれば?

  6. 筋トレ弁当の宅配サービスを紹介!マッスルデリは便利で美味い

    筋トレ弁当の宅配サービスを紹介!マッスルデリは便利で美味い

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ダイエットSafariのYoutubeチャンネル

管理人プロフィール

管理人サファリ
ペンネーム:サファリ

日本ニュートリション協会公認サプリメントアドバイザー

筋トレと栄養学にハマる神奈川県在住35歳。
「safari」とは「未知への探求」という意味ですが、人体って今でも未知の事だらけ。
科学的根拠はもちろん大事ですが、まだまだ科学でもわからない未知の「体感」「経験」なども大事にしたいと思っています。
>詳しいプロフィールはこちら